「浮世の画家」カズオ・イシグロ を読んで

「浮世の画家」カズオ・イシグロ
を読んで、気になった個所を忘備録的に残します。

小津映画を読んでいるようでもあり、
藤田嗣治の帰国時とも繋がっているようで、
自分の創作活動のコアなところにリンクして、
あいまいなモヤモヤが強く浮き出されたようです。

P221
あれを制作したころ、わたしは随分若かった。浮世の風俗を賛美出来なかったのは、その価値をまだどうしても信じる気になれなかったからだろう。若者はえてして快楽を罪悪視しがちだ。わしも例外ではなかったと思う。そんなところで時間を費やし、そんなにはかなくて、つかみどころのないものを美化するために才能や技術を用いるなんて、そんなことはすべて浪費であり、デカダン趣味とえ言えると、そう考えていたような気がする。ある世界の妥当性そのものに疑問をもっているあいだは、その世界の美しさを観賞することなど、とてもできない」

中略

P222
「きみたちは新世代の日本の美術家として、祖国の文化に対する重大な責任を担っている。わたしはきみたちのような青年を弟子に持ったことを誇りに思っている。わたしの絵はあまり褒めてもらえるような代物ではないが、将来わたしの生涯を振り返って、ここにいるみんなの画業を助け育てたことを思い出したならば、そう、そのときには、だれがなんと言おうと、わたしの人生を無駄に過ごしたとは決して思わないだろう」

P306
わが国は、過去にどんな過ちを犯したとしても、いまやあらゆる面でよりよい道を進む新たなチャンスを与えられているのだと思う。

LINEで送る
Pocket

騎士団長殺し「第2部遷ろうメタファー編」を読んで

「騎士団長殺し 第2部遷ろうメタファー編」村上春樹著
春樹さんに夢中になっています。
また自分の忘備録で、ストーリーには触れずに気になったフレーズを書き留めておきます。

P23
「時間が奪っていくものもあれば、時間が与えてくれるものもある。時間を味方につける事が大事な仕事になる」

何か、キーワードになってましたね、この小説の。

P138
「スコットランドにいる知人がこのあいだ送ってくれた、ちょっと珍しいアイラ島のシングル・モルトがうちにあります。プリンス・オブ・ウェールズがその醸造所を訪ねたとき、自ら鎚をふるって栓を打ち込んだ樽からとったものです。もしよかったら今度お持ちします」

ウイスキーって美味しく飲めた記憶が、、あまりないんだけど、
「アイラ島のシングルモルト」調べて飲み比べてみようかな。

P141
「でもあなたには絵を描こうという意欲がある。それは生きる意欲と強く結びついているもののはずです」
「でもぼくはその前に乗り越えるべきものをまだきちんと乗り越えていないのかもしれない。そういう気がするんです」
「試練はいつか必ず訪れます」と免色は言った。「試練は人生の仕切り直しの好機なんです。きつければきついほど、それはあとになって役に立ちます」
「負けて、心が挫けてしまわなければ」

この一年程、今までにない試練が訪れ、染めが出来ない日々が続き、
根本から見つめ直す日々を過ごしていました。この文章にどれだけ救われたか、
もっとずっと時間が経てば、それが役に立つ日が来るのかな?

LINEで送る
Pocket

このエラーメッセージは WordPress の管理者にだけ表示されます

エラー: フィードが見つかりません。

アカウントを接続するには、Instagram Feed の設定ページに移動してください。