読書忘備録_20181217

スティーブジョブズの伝記を読んでから、氏が読んでいた本や関連本やたくさん読み漁ってきました。禅やヨガに関する本はまだ解読中なんだけど、この本にあった言葉はストレートにしみ込んできました。

「私たちは皆、歴史の流れの中で生きている。私たちは先人から恩恵を受けている。先に生まれた人々が発明したものを使い、食べ物や洋服があるのも彼らのおかげだ。同じように、私たちも歴史に“何か”を残さなくてはいけない。私たちが作ったもののおかげで、後年の人々が恩恵を受けるようなものをね」

これって高校時代に読んだ坂口安吾の「ラムネ氏のこと」に書いてあったことじゃん、
「男子一生の業とするに足りるのである 」
僕の中ではいまでも刻まれている言葉です。

優れた芸術家の作品というのは—その芸術家の考え方とか、エネルギーとか、時間も含めて、いろんな要素が凝縮されて入っているものを—見ていると感銘をうけますよね。それと同じ感じのものを、とにかく店でも作るんだ、と。そのためには、妥協は絶対にしないし、「もうこれ以上はできない」ってところまでやるんですよね。「ここでお終い」とかではなくてですね。

僕は染をしていて良く思うことがあります。
藍染の技法や柄って、ほぼ出尽くされていて、何か新しい創意工夫を生み出しても何かに似てしまう。また、常に世の中動いているから、新しい何かと組み合わせると新鮮な今まで無かったような表現が出来る。

この相反する「古典/伝統」と「現代的/革新的」、とでも言うのかな、
染めた生地には、染めたその人の人柄が染み込むから、
その人が何を考え、何を込めたかが問われるんだと思うんです。
だから同じような技法で、同じように生地に染めても、
「何かを込められた染め」と「何も込められていない染め」って
見る人や感じる心があれば、すぐに見分けがついてしまう。
新しい感じとか、古臭い感じとか、何かイイじゃん、これはダメだな、ちょっと違う、残念って。世の中には違うなぁ、残念だなあ、今じゃないな、が多い気がして、そんならあんたが染めなよって事なんだけど。

僕の言葉だと「込められた染め」、
この本の言葉だと 「いろんな要素が凝縮されて入っているもの」
これに尽きるんだと思うんですよ、何かを創作するって。
これがないと、薄っぺらい空っぽの、つまんない表現になっちゃう。

これは、ある意味では、日本の茶懐石に似ていると思います。お客様がいらっしゃると、今の時代なら「またいつか会おうか」みたいな感じですけど、茶懐石が生まれた時代であれば「一期一会」という言葉にも表れているように、今日が最初で最後、そうした時に、「この方は出身地はここで、こういうものは好みではないかなぁ」「だとしたら、こういうものを、こういう料理の仕方で、こう出そう」みたいなことを、最上のおもてなしをするために、やはり徹底して考えますよね。
 そのおもてなしの心なんです。アップルストアのコンセプトもそうだし、製品サービスもそうですけれども、日本でいうところの「おもてなしの心」、これは万国共通だと思うんです。

染めをしている時はいつも「使う人・着る人」「その空間」の事を考えて、
届け!届け!ここに染み込めって気持ちで染めています。
この感じです、今しかないっていう危機感みたいな集中力、創作にはコレがたいせつなんだなって、この本を読んで改めて思いました。

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