今回、染裕の藍染筒描と衣類・装飾品を展示販売頂いている
「白浜海洋美術館」とその所蔵品「万祝」について、
少々、遡ってご紹介します。
今から18年前。確か多摩美を卒業して大阪でテキスタイルデザイナー(社会人になり挫折を味わっていた)頃じゃないかなぁ。(昔の資料やスケッチブックの日記を見つけたら修正します)休みになるとバイクでツーリングしながら美術館、博物館、資料館、民芸館などの伝統工芸を廻っていました。「万祝」を知り、白浜海洋美術館を調べて訪ねました。
この万祝コレクションを見て、豪快な美しさに
何てすごいんだろうって、ビックリしたのと「確信」みたいのがあって、
これだ!って。
当時から「藍染」「工芸品」「暮らしの中の美」みたいなキーワード、その先を探してたんです。各地の民芸館や資料館、国際染色美術館(旭川)、にも藍染の装飾を見る事が出来たけど、ここまでの水準で集約されたコレクションは他で見られなかった。
誤解を恐れずに少しエグるなら、藍で染まっていればいいってもんじゃなくて、生活に根付いていた日常品(将軍や皇室献上品でない)だったものって、時間を経たフィルターを通して見るとピンキリがあって、染まりが悪かったり、文様や作業が乱雑だったり、経年劣化が激しかったり、そのモノ自体から発せられる「美しさ」みたいなものがないと、鑑賞に耐えられなくてノイズが発生してくるんですね。良いとこ探すけど、もうキリがない。みたいな。
白浜海洋美術館に所蔵されている万祝はピン、
つまり「良いもの」が集まっている事。
そして江戸後期から明治、大正を経て昭和の初期、万祝が姿を消す迄の時代のモノが集められている事。
ここまでのモノが集まると、ノイズとは真逆、「美しさ」を集めたその上澄みの旨さ、みたいな味わいを感じる事ができるんです。
そのエッセンスって濃縮されてるから、いいダシになるんです。
万祝の模様とその背景にあったもの。薄めたり濃くしたり、味付けしたり、いろいろをスケッチブックに試して
白浜美術館にもなんどか訪ね、名誉館長の柳和子さんにもお話を伺い
今の染裕のベースになる屋号の文様を作りました。
長くなるので、続きます