「1Q84」を読んで

本を読んでこんなに夢中になるのって、いつ以来だろう
村上春樹著「1Q84」
多くの読者がそうだったように、ここ数日、現実と物語の区別がつかなくなるくらいに夢中に読んでいました。何だろう、この中毒的な魅力は。

物語のストーリーには触れず、自分の忘備録で気になった部分を書き出しておきます。

BOOK2<7月―9月>

P36
「バーニー・ビガードは天才的な二塁手のように美しくプレイする」
「ソロも素敵だけど、彼の美質がもっともよくあらわれるのは人の裏にまわったときの演奏なの。すごくむずかしいことを、なんでもないことのようにやってのける。その真価は注意深いリスナーにしかわからない」
「ほら、よく聴いて。ます最初に、小さな子供が発するような、はっとする長い叫び声があるの。驚きだか、喜びのほとばしりだか、幸福の訴えだか。それが愉しい吐息になって、美しい水路をくねりながら進んでいった、どこか端正な人知れない場所に、さらりと吸い込まれていくの。ほらね。こんなわくわくさせられるソロは、彼以外の誰にも吹けない。ジミー・ヌーンも、シドニー・ベシエも、ピー・ウィーも、ベニー・グットマンも、みんな優れたクラリネット奏者だけど、こういった精緻な美術工芸品みたいなことはまずできない」

素敵な文章だなぁ、「天才的な二塁手のように美しくプレイする」と「美しい水路をくねりながら進んでいった~」のフレーズ。実際に音楽を聴いてみて、さらに納得しました。
春樹さんの文章の中には音楽や文学やいろんな要素が引用されるんだけど、そのチョイスと造詣深さと物語に何層にも奥行きを描き出していく描写が実に味わい深い。。。

こんどゆっくり調べてみたり、読んでみよう。途中で出てきたフレーズや曲、小説などなど

フレイザーの「金枝篇」
「シンフォニエッタ」ヤナーチェック
森鴎外「山椒大夫」
「平均律クラビィーア曲集」バッハ
「オッカムの剃刀」

P279 …一部抜粋「しかし歳月はすべての人間から少しずつ命を奪っていきます。人間は時期が来て死ぬのではありませんん。内側から徐々に死んでいき、やがて最終的な決済の日を迎えるのです。誰もそこから逃れることはできません。人は受け取ったものの代価を支払わなくてはなりません。私は今になってその真実を学んでいるだけです」

P297…一部抜粋「大事なものを手に入れるには、それなりの対価を人は支払わなくちゃならない。それが世界のルールだよ」

この年度末の時期に「1Q84」を読んで、何か新年度にむけてトンネルを潜り抜けていくような、
不思議な感じを味わいました。

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