藍染の筒描、新作が染上がりました。
糊を落としたばかりの、まだ濡れた状態ですが
5月の西日を浴びて輝くように、鮮やかに染まりました。
題して「Japan indigo beautiful island」〜藍色が美しい島国 日本〜
いつも感じることなのですが、
完成するとまるで何年も前から存在していた様な
懐かしい感触を味わいます。
真っ白のスケッチブックから
ああだ、こうだ、、を繰返し
あれだけ悪戦苦闘したのが嘘のようで
2016年 染裕は
「新しい過去」を見つけたら
「懐かしい未来」の扉がひらく
というテーマで制作しています。
この筒描、今までに制作したことの無い様な
全く新しい筒描ですが、なんとなく懐かしい
スカジャンテイストからインスパイアされてますが
思い出せば、この虎の図案は前にも染めてますね
やっぱり、なんとなく懐かしい新作です。
創作の裏話を
思い出が薄くならないうちに書き留めておきます。
思い返せば、、今年の春
ちょうど桜が咲いていた頃
心の中にポッカリと穴があいてしまいました。
多くの別れとあっと言う間に消えてしまった大事なモノ
それに会社員仕事が多忙すぎて染めが出来ない日々が続き
方向性を見失っていました。
たまたま、アートスクール時代の友人
イラストレーターのハッシーとハマスタに行った時の事。
ビールとワインを飲み干して日本酒を飲みながら
アルコール臭いつぶやきで、グチに近い想いを聞いてもらっていたら
そんなの「break out」しちゃえばいいじゃん、
みたいなアドバイスをもらって、。
レフトスタンドに吸い込まれるホームランの弾道を眺め
ああ、そっか。と。
何か今までと違う意識がインストールされた様で。。
その翌日から、染裕にしか染める事が出来ない
新しいスタイルにチャレンジしたくなって、
スケッチブックにラフイメージを描き出しました。
これもいつもの事ですが、、
下書きのまま放り出すか、下書きもないまま描き出すか。
今回は、こんなラフなイメージだけで
ほぼ一発勝負で筒描をはじめました。
あんまり下書きで完成しちゃうと、なぞっちゃうだけで
線の勢いが無くなるからこれで良し!としてますが
ほとんど時間がなくて、ああはじめちゃえ、
きっとうまくいく!の描き出したい思いで
見切り発車制作の開始。
ホントは連休中に染上がる予定が、
イメージ固まっていない部分になると線がつくれず
下書きの線を重ねていたら遅れに遅れて
ようやく染上がりました。
こちらは染める直前の、最後の糊乾かし状態。
「龍」と「虎」、このタイガー&ドラゴン
イメージ通りよく染まったなぁと、驚きです。
普通は染上がり後に、修正加えるんだけど
龍も虎も眼のライン、藍でうまく染まりました。
宿ったかな?
いろんな想いが集約して。。。
日本って、八百万の神々の鎮座する
藍染が良く似合う美しい島国で、
今でも同じ、時代が変わっても脈々と続く「美意識」みたいなモノ
ソレを再認識したくて。
今の時代の外からの目線、海外から見た日本でソレを意識して
昔スカジャンに施された刺繍の文様、米軍がヨコスカ帰りの
お土産から生まれた日本らしい独自のもをモチーフのベースにしました。
この筒描をフラッグシップに
型を彫り、Tシャツモデルも制作しようと思います。