第54回かわさき市美術展が終了し、
写真部門に出品していた作品が戻ってきました。
今回の出品を通じ、いろいろと感じることがあり、書き留めておきます。
まずは、奨励賞頂きましたこちらの作品
3枚1組のタイトル「彩乃会」です。
皆さんのお姿、「お見事!」です。
舞踊の動きの中の一瞬や、最後の決めポーズの瞬間をとらえた3枚になります。
今回受賞できたのは写真としての技術などより、被写体となった彩乃会皆様の美しい姿のおかげだと思っています。
実際の舞台も勢いの中に緩急と、ビッシ!っっと決まる瞬間のシャープ感があり、舞踊の動きに操られる用に夢中になってシャッターを押していました。
今回応募した作品は昨年2020年、
サンピアンかわさきの大ホールで行われた舞踊発表会を撮影した約1900枚の中から選び抜いた6枚を出品用にアレンジさせて頂きました。
本当に不思議なご縁が繋がり、撮影のご依頼を頂く様になり、
様々な流派の先生方に「舞踊写真」に求められるものとは、をご指導頂き、
なんとかここまでの写真を撮影出来る様になりました。
あまりマイナスイメージな事は文章にのこしたくないのですが、
ここまで撮影出来るまで、いろいろな事がありました。
ある先生から
「命をかけて踊っているのだから、命をかけて撮影しなさい」
と言われた言葉は忘れられません。
戦場カメラマンじゃあるまいし、、と思いつつ
舞台袖で倒れこむ方や、出番を終え悔し泣きされる方を拝見すると撮影する側も緊張感が増します。
「踊りがわかっていない、あなたも踊りなさい」
と言われ、
いやいや踊ってたら写真取れませんから、と思いつつ
自分も踊っていないと(実際に踊るって事では無いのですが)
シャッターが押せないことに気づき、
いつの間にか「舞踊撮影」にのめり込んでいきました。
5分程のステージにかける情熱と時間とお金、大変なものです。
音楽、照明、舞台道具、衣装、何人もの人々で作り上げる、総合芸術ですね。
初心者の方、5歳くらいのお子さんから、ベテランの先生方、90歳を超える生徒さん、
皆さんそれぞれで、上手い下手というより、その方々の「素」があぶり出されにじみ出てきます。
自分はファインダー越しに、観客席から見ていますが、
舞台には「魔物」なのか?「神」なのか?何か大きな力を感じます。
素晴らしい舞は、1本の映画を見終わった位の充実感を感じることがあります。
そして、もう一つの出品作
「彩乃会」が多数/静止イメージ、とするならば
「雪娘」こちらは少数/動的イメージ、となります。
撮影側としては「雪娘」も大変美しい瞬間をとらえた写真です。
入選逃したのは、トリミング?余白がもう少し欲しかったかな?
「雪娘」のステージ、ダイナミックに動く白い着物姿が印象的でした。
舞踊写真では、動きの途中はあまりシャッター押さないのですが、左の写真は思わず狙ってしまいました。
振り下ろした布の動きを捕らえたフォルムと背景のコントラストが美しい一枚だと思っています。
「かわさき市美術展」
舞踊の皆さんの活動を写真を通して多くの方に紹介したかったのと、
自分でもこれは!と思う写真が撮れる様になり、度胸試しのつもりで今回はじめて出品しました。
どちらかというと、染裕の写真は
ご依頼頂き撮影した写真を作品用にアレンジして出品しているので
「商業デザイン」的アート、とでもいうのかな?
それに対し出品されている作品は、
「ピュアアート」純粋に作りたい衝動で制作している作品が多く、
作者の思いが強く伝わってきて、久しぶりです。小学生の頃じゃないかな、作品と向かい合う、このピュアな感じ。
デザインの仕事をしていると、商売感覚的な意識が根付きどうしても雑念に覆われてしまいます。
大きなサイズの絵画や、丁寧に描きこまれた精密画に対峙すると、ココロの隙間に染み込んできます。
今回の展示では「書道」にも驚かされました。文字をなぞる様に読み取っていくと墨と余白の中に「凛」とした空気を感じます。こんなに魅力的だったんだ。
それから中高生の作品。
やっぱり、あの時でないとつくれないものがあります。初々しいエネルギーに満ち溢れています。
会場はそんな様々なジャンルの作品が展示され、不思議な空気感になっていました。
バラバラに散らばっていたパズルのピースが、
今の時代、かわさきで活動したり拠点としている作者のそれぞれの「色」を施されて集まり、
この先への道しるべとなる「未来への地図」のようなカタチを映し出しているようでした。
そんな一角に、染裕も参加できて本当に嬉しく思っています。
創作活動は日々、孤独と隣り合わせで、これでいいのか?自問自答の繰り返しです。
「奨励賞」頂き、とても励みになりました。賞状を頂くのも、小学生の時以来です。
サンピアンかわさきで舞踊撮影をご依頼頂いているうちは、
毎年「かわさき市美術展」への出品をワイフワークの一つに加えてみたいです。
テキスタイルの作品も出展されていて、とても刺激を受けました。
次回は「藍染」も出品してみたいなぁ。
舞踊の皆様、美術展関連の皆様、ご来場頂いた皆さん、ありがとうございました。
会期中、緊急事態宣言も延長され展示会開催も大変なご苦労があったと思います。
今回の出展が、「次の」、「何か」に繋がっていきそうで、
自分でも楽しみにしています。