2017年 多摩美術大学 校友会 神奈川支部展の続き、
染裕の展示から
今回は2段目の3着、新作を染めました
どうしても新しいの展示したくて搬入の数日前に染め上げました。
「中庸を保て」 – 生地と藍色の間に今が染まる –
そんなテーマが、まだボンヤリとですが あって、そのインスピレーションで染めてます。こうやって展示すると、どうしてもシャツになっちゃいますが。
僕にとっては白いキャンパスが、白いシャツで、藍色の絵の具で描いてる感覚なんですが、まだ伝わらないですね(弱いですね)
早速、ご一緒に展示の皆さんの作品を幾つかご紹介!
宇野 勉 「MITO」
いつもお世話になっている事務局長 宇野さんの作品(上部)です。
お話していると本当に毎回刺激を受けます。この作品ブロンズに見えますが
FRP素材で様々な創意工夫が集約されています。
山村 助成 「ビッグバーン現象」
存じ上げなかったのですが山村さんは「横浜マイスター」でもあり「現代の名工」にも選定された卓越された技能者です。染めの作品を作るって体力も必要なんですがエネルギーに満ち溢れています。
小渕 俊夫 「放卵するフォルム」
大きな塊の黒御影石を削って磨いて、このフォルムを表現されたそうです。実際にさわると独特の冷たさ・暖かさがあります。小渕さんからオープニングパーティで頂いた黒胡椒が大変な美味で、翌日まで残った余韻が心地よかったです。
青戸 英子 「手織タペストリーⅠ」/「手織タペストリー 【SURFACE】Ⅱ」
写真では見えにくいのですが、岩肌・土肌にある「コケ」や独特の質感をテキスタイルで表現したそうです。細部見ると素材感を大変な情熱を注ぎ込んで製作されています。
この時期、ちょうどクライマックスシーズンで今年も青戸さんとベイスターズの話ができるのが嬉しかったです。
こちらも青戸さん作、販売品のマフラーです。
糸から製作されているらしく、凹凸ある表面が魅力的で即日完売となっていました。
平田 由布 「PIECES(32)」
細かくカットした布を貼り合わせて製作されています。
遠目で見ると印象派の絵画のようです。
タケイチ ユリ 「コムローイ」
きっと物語の一部の様な、ストーリーがあるんだろうなぁ。
検索したら「コムローイ」って、、ランタンが天に舞うお祭りなんですね。
道源 綾香 「おへそのまわりで踊りだす ー ちりばめられる ー」
今回も独特のタイトルですね。一眼レンズの浅い被写体深度みたいな不思議な世界観がある絵画。
中島 勉 「ねじねじ」
一本の鋼鉄に熱を入れねじりを入れる、という高度な技術を限られた作業環境で製作されたそうです。細部みるとねじりの湾曲がとても綺麗で、当番の日に遠目から眺めていたら、なんとなく「ロンギヌスの槍」を思い出しました。
井上 洋介 「寂光」
写真では見えないですが、実物は葉のラインに凹凸とツヤ感があって存在感がある表情を持っています。タイトルも美しいですね、静かな月明かりを感じる様です。
高梨 麻世 「キャンソン・マイメリ デモンストレーションの為の即興スケッチ」
何だろう、見た瞬間に伝わってくる感じと眺めていると脳味噌が違う風景を作って行く感じ。
君塚 裕美 「希」
何作か連作のように展示してあった一作品です。この一年いろいろな事を乗り越えて製作されていたそうです。僕もこのような絵画を描きたいと思いました。
大橋 一仁 「開店前の厨房」
何気ない、多分居合わせたらそのまま気づかないだろう風景。絵画の中に、ある感情で収められている。額も含めて隙なく描きこまれていて見入りました。
実はこちらの作品、知人が大変気に入ってくださり、お買い上げいただきました。
自分にとっても、この半年の実風景とシンクロしそうなこの作品
眺めているとある記憶が五感で感じられます。
ほんの一部の作品です。全て紹介できずにすみません。
ちょうど雨の日の当番、お客さんのいないギャラリーで作品と静かな時間を過ごしました。きっと最初の数秒で90%以上の印象は決まってしまうんだろうけど、ホントは製作した時間と同じくらいの時間、描く様に眺めれば、作者のハートや意図が解読できるんじゃないかな。
個人的な事ですが、この一年の、特にこの半年、僕の記憶にないくらい大変な時期で記憶に無い記憶、染めの創作も出来ず、自分を見失いそうだったので、この展示会に参加できた事が、大事な事を思い出すキッカケのリハビリの様でした。
いろいろな方々とお話をして、それぞれの皆さんにも同じ様に過ぎて行く時間があって、苦悩しながらもそれさえ糧にして新しい作品が生まれる。そんな繰り返しでまた何かが生まれる。それを展示する、見る人には何か伝わる、その時伝わらなくても、時がくれば意味を持つ。それで良いじゃん。
今年お会い出来なかった方とも、また数年後に再開できると良いですね
来年はどんな事を考えて染めしているんだろうか。
ご来場・お買い上げ頂いたお客様、お世話になりました皆さん
本当にありがとうございました。